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刑事事件について

痴漢事件の刑事手続(公判段階)

痴漢事件の刑事手続(公判段階)

1.公判請求

痴漢事件が起訴(公判請求)される場合,起訴罪名は,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反か強制わいせつ罪のいずれかになります。実務上,電車内等で被害者の身体に触れるような形で行われる痴漢行為については,衣類等によって隠されている箇所を衣類の上からではなく直接触れた場合,強制わいせつ罪として起訴され,それ以外の行為態様による場合には,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反として起訴されることが多いようです。もっとも,東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条1項は,被害者の肌に直接触れる場合についても同条例違反が成立するものと定められている一方,衣類の上から被害者の身体に触れた場合であっても,痴漢行為に及んでいた時間が長時間にわたる場合等は,強制わいせつ罪として扱われる場合もあり,両罪の区別は極めて曖昧です。公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反の法定刑が「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」であるのに対して,強制わいせつ罪の法定刑は「6月以上10年以下の懲役」と定められており,刑事責任の重さは大きく異なります。いずれの罪名で起訴するかは検察官の裁量にかかっていますから,起訴前の段階で,公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反しか成立しないことについて,弁護人を介して検察官に十分にアピールすることが求められます。

参照条文

東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

第5条1項

何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。

1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

2号 公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

3号 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

第8条1項

次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

2号 第5条第1項又は第2項の規定に違反した者(次項に該当する者を除く。)

同条2項

第5条1項(第2号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

 

刑法

第176条

13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

 

2.起訴後,第1回公判期日まで

検察官によって起訴された場合,起訴日から1ヶ月~2ヶ月以内に,最初の裁判の期日が設定されます。弁護人は,起訴されるまでの間は,被害者の供述内容等の捜査資料を確認することができませんが,起訴された後は,検察官が裁判で使うことを予定している証拠について,開示を受けることができます(刑事訴訟法299条1項)。また,検察官が裁判に用いる予定のない捜査資料についても,弁護人から,証拠の開示を請求することによって,開示を受けられることがあります(証拠開示の方法や手続については,様々な内容が含まれますので,別のページで解説させていただきます)。弁護人は,検察官から開示を受けた捜査資料から,検察官が,どのような証拠から,被告人が有罪であることを立証しようとしているのかを検討することになります。

痴漢事件においては,客観的な証拠が存在しないことから,被害者や目撃者の供述によって,被告人が痴漢の犯人であることを証明するケースがほとんどといえます。そこで,被害者や目撃者の供述と,被告人の供述を比較して検討した上,被告人の弁解を裏付けるような資料がないか,被害者や目撃者の話を弾劾できるポイントがないかを精査していくことになります。被告人が痴漢行為を認めている場合であっても,被害者や目撃者の供述内容と被告人の供述内容に整合しない箇所がないか,被告人自身の供述調書について被告人の意に反する内容が記載されていないか等について,記録を精査する必要があることに変わりありません

刑事訴訟法

第299条1項

検察官、被告人又は弁護人が証人、鑑定人、通訳人又は翻訳人の尋問を請求するについては、あらかじめ、相手方に対し、その氏名及び住居を知る機会を与えなければならない。証拠書類又は証拠物の取調を請求するについては、あらかじめ、相手方にこれを閲覧する機会を与えなければならない。但し、相手方に異議のないときは、この限りでない。

 

3.第1回公判期日から判決まで

被告人が痴漢の事実を認めており,被害者の供述と被告人の供述に大きな矛盾点が認められない場合,1回の裁判で全ての審理を終えるのが通常です。したがって,罪状認否(起訴状に記載されている事実を認めるのか争うのかを主張する手続 刑事訴訟法291条4項),証拠調手続(同法292条),意見陳述(検察官の求刑や弁護人による弁論等 同法293条)等を,1日で全て行うことになります。通常は,1時間以内に,全ての手続が終わることになります。

事件の内容についての審理を終えた後,その場で判決を宣告されることもありますが,通常の場合は,判決宣告の日時を決めるにとどまり,判決の宣告自体は次回期日に行われます。

他方で,被告人が痴漢の事実を否認している場合,1回の裁判で審理が終わることはほとんどありません。初回の裁判は,被告人の罪状認否を行い,検察官が取調べを請求している証拠の内,弁護人や被告人が同意したものを取り調べるのみで終了することが多いでしょう。その後で,裁判官,検察官,弁護人の間で,今後の審理計画について相談することになります。痴漢事件の場合,被害者や目撃者の証人尋問が行われることが想定されますから,目撃者が複数おり,全ての目撃証言を弾劾する必要がある場合には,1日に全ての目撃者の話を聞くことができないため,目撃者に対する尋問だけで,数日かかる場合もあり得ます。他方で,被害者の供述しか証拠が存在しない場合には,被害者と被告人の話を聞くだけで審理が終わる場合も考えられます。もっとも,どれだけ短くても,起訴されてから3ヶ月以上はかかることが通常です。

参照条文

刑事訴訟法

第291条4項

裁判長は、起訴状の朗読が終った後、被告人に対し、終始沈黙し、又は個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨その他裁判所の規則で定める被告人の権利を保護するため必要な事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会を与えなければならない。

第292条

証拠調べは、第291条の手続が終った後、これを行う。

第293条1項

証拠調が終った後、検察官は、事実及び法律の適用について意見を陳述しなければならない。

同条2項

被告人及び弁護人は、意見を陳述することができる。

 

 

4.起訴後の身体拘束

勾留されたまま被疑者が起訴された場合,被疑者の身体拘束はそのまま継続されます。起訴後の勾留期間は,2ヶ月間と定められており「特に継続の必要がある場合」には1ヵ月ごとに延長されます(刑事訴訟法60条2項)。もっとも,勾留期間の経過を理由に釈放されるケースはほとんどなく,判決宣告日まで,勾留が更新され続けることが一般的です。そこで,判決が宣告される前に,被告人の身体拘束を解くためには,保釈請求を行うことになります(同法88条)。保釈には,特定の事情が認められなければ,原則として保釈が認められる権利保釈(同法89条)と,裁判官の裁量によって保釈の可否が判断される裁量保釈(同法90条)の2種類があります。痴漢事件の場合には,強制わいせつ罪で起訴された場合も,「死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役」89条1号)にあたりませんから,権利保釈を請求できるケースが多いといえます。もっとも,実務上は「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」同条4号)が極めて簡単に認められていることもあり,原則として痴漢事件においては権利保釈が認められているとまではいえません。他方で,権利保釈が認められなくても,痴漢事件の場合には,裁量保釈が広く認められており,起訴後早い段階で,ほとんどの被告人の保釈が認められています。私が弁護人として選任されたケースでは,執行猶予中の再犯であり,刑務所への服役が不可避と考えられていた被告人についても,起訴後直ちに保釈が認められました。法律上は,被告人本人や,被告人の家族も保釈を請求できることになっていますが,保釈請求の際には,刑事訴訟法の知識に加えて,刑事裁判の経験が求められます。保釈の請求の際には,弁護士の存在が必要不可欠であるといえます。

参照条文

刑事訴訟法

第60条2項

勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。

第88条1項

勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。

第89条1項

保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。

1号 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

2号 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。

3号 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。

4号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

5号 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。

6号 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

第90条

裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

 

5.上訴

痴漢事件によって有罪判決を宣告されたとしても,執行猶予中の再犯である等の事情がなければ,直ちに刑務所で服役しなければならない実刑判決を宣告されることは多くありません。痴漢行為の事実を否認した結果,裁判官による量刑判断の際に「不合理な弁解に終始しており反省の態度が見られない」と判断された場合であっても,執行猶予が付されることが多いものといえます。もっとも,実刑判決が宣告されるケースもありますし、無罪の主張が聞き入れられなかった場合には,当然に控訴することができます(刑事訴訟法372条)。一般的に,控訴審において,第一審の判決が覆ることは多くありません。しかし,痴漢事件においては,被害者の供述以外に,被告人が犯人であることを裏付ける証拠が存在しないことが多く,被害者も曖昧な供述しかできていないケースも多々見られます。控訴審において,被告人の弁解を排斥することができないとして,第一審判決が破棄されるケースも存在します。また,控訴審の判決に納得ができない場合には,最高裁判所に対して上告する(同法405条)ことができ,上告審において無罪判決が宣告された痴漢行為に関する著名事件も存在します。控訴審や上告審においては,原審の記録を全て精査した上,控訴趣意書又は上告趣意書という書面を作成して,上訴審が係属した裁判所に,原判決の不当性を主張しなければなりません。そして,控訴趣意書や上告趣意書において主張できる内容には,訴訟法上の制限があり,弁護人の助力なくして,適切な趣意書を書くことは極めて困難です。  不当な判決を言い渡された場合には,直ちに弁護士にご相談いただければと思います。

参照条文

刑事訴訟法

第372条

控訴は、地方裁判所又は簡易裁判所がした第一審の判決に対してこれをすることができる。

第405条

高等裁判所がした第一審又は第二審の判決に対しては、左の事由があることを理由として上告の申立をすることができる。

1号 憲法の違反があること又は憲法の解釈に誤があること。

2号 最高裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

3号 最高裁判所の判例がない場合に、大審院若しくは上告裁判所たる高等裁判所の判例又はこの法律施行後の控訴裁判所たる高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと。

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