東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県で刑事事件専門の弁護士をお探しなら

渋谷青山刑事法律事務所

初回相談無料。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に対応

  • 0120-135-165

  • メール相談はこちら

刑事事件について

痴漢事件の刑事手続(捜査段階)

痴漢事件の刑事手続(捜査段階)

1.事件発生

痴漢事件は,走行中の通勤電車の中や混雑した駅の構内等で発生することが多い事件です。被害者が,痴漢被害に遭った直後に

「この人痴漢です!」

と周囲の乗客に大声で助けを求めたり,目撃者が

「痴漢をしましたよね?」

等と被疑者を咎めたりすることで,痴漢事件は発覚します。逆に,痴漢行為の直後に被害申告がなされない場合,被害者が事後的に捜査機関に被害を申告しても,犯人を特定することが極めて困難であることから,事件として立件されにくくなります。したがって,痴漢事件については,痴漢行為が行われた直後に,現行犯逮捕(刑事訴訟法213条)されるケースが極めて多く,事後的に,裁判官から発付された逮捕状によって逮捕(同法199条1項)されるケースは多くありません

参照条文

東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例

第5条1項

何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。

1号 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

2号 公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室その他公衆が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいる場所又は公共の場所若しくは公共の乗物において、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

3号 前二号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。

刑事訴訟法

第213条

現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

第199条1項

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。

 

2.現行犯逮捕

電車内で痴漢を疑われると,多くの場合,被害者や周囲の乗客によって,次の停車駅で下車させられ,駅員に引き渡された後,駅員室に連行されることになります。下車直後は,被害者と直接話す機会がありますが,駅員は被害者と被疑者を引き離すため,駅員室に連行された後は,被害者に直接弁解する機会はほとんどありません。その後,駅員から通報を受けた警察官が駅に到着した後,被疑者は警察官に引き渡され,警察署に連行されることになります。

警察署に連行された後,痴漢行為に及んだことを認めていることや,身柄引受人が確保されていること,就業環境が安定していること等を理由に,逮捕されることなく釈放されることもありますが,そのまま逮捕されてしまうことも珍しくありません。逮捕されてしまうと,携帯電話等の使用も禁止されてしまうため,駅員室にいる間が,弁護士や家族に連絡する最後の機会となります。法律上は,逮捕された後,警察署において,警察官から弁護人を選任する機会を与えられることになっており(刑事訴訟法203条1項),直接選任を依頼できる弁護士に心当たりがない場合,当番弁護士を要請することもできますが,残念ながら,被疑者に対して弁護人を選任できる旨を告知しない警察官も少なくありません。逮捕される前に,家族に連絡する等して,弁護士への依頼をお願いしておいたほうが無難といえそうです。

他方で,駅員室にいる間に,会社に連絡するかどうかは悩ましいところです。逮捕されない場合であっても,取調べに数時間を要することから,この段階で会社に連絡を入れないと,無断欠勤又は無断遅刻と扱われてしまいます。もっとも,逮捕されても,後述する勾留の手続がとられなければ,翌日か翌々日には釈放される可能性もあります。会社外における違法行為も,会社による懲戒処分の対象となり得ますので,緊急かつ重大な連絡事項があり,会社や自分自身に大きな不利益が生じるような場合でなければ,会社への連絡を控えることも,一つの選択肢となりそうです。

参照条文

刑事訴訟法

第203条1項

司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

 

3.検察官による勾留請求

被疑者は逮捕された後,管轄の警察署の留置場で身柄を拘束されます(例外的に,他の警察署の留置場等で拘束される場合もあります)。警察官は,被疑者を逮捕してから48時間以内に,被疑者を検察官に送致しなければなりませんので(刑事訴訟法216条,203条1項),午前中に逮捕された場合には翌日の午前中,午後に逮捕された場合には翌々日の午前中に検察官に送致されることになります。被疑者は,検察官に送致される日,護送バスに乗って,検察庁に連行されます。そして,検察庁の地下室で,自分の取調べを待ちます。検察官に呼ばれると,検察官の執務室で取調べを受けることになります。この日に行われる取調べは,痴漢を実際に行ったかどうかや,刑事罰を決めるために行われる訳ではなく,被疑者に対する処分を決めるまでの間,被疑者の身体を拘束する必要性があるかどうかを判断する為に行われます。  具体的には,痴漢行為の態様や,被疑者の供述内容を踏まえて,

・被疑者が定まった住居を有しているかどうか

・被疑者に罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるか

・被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるか

を検討し(刑事訴訟法204条1項,60条1項各号),いずれかに該当すると判断した場合には,裁判官に対して,勾留請求を行います。検察官は,警察官から被疑者の送致を受けた後,24時間以内に,勾留請求を行うか被疑者を釈放するかの判断をする必要がありますので,勾留請求の有無は,検察官に送致された日に判断されます。

痴漢行為に及んだことを認めていること,前科・前歴がないこと,家庭環境や就業環境が安定していること等の事情が認められる場合には,勾留請求が行われず,検察官に送致された日のうちに釈放されるケースも見られます。しかし,痴漢行為に及んだことを否認したり,痴漢行為に及んだことを自白していても,被害者の話と一致しない点が多い場合には,勾留請求がなされることが多く認められます。検察官に送致される前までに,弁護士が選任されていれば,弁護士が検察官に対して意見書を提出し,その意見書に被疑者の家族による身柄引受書(被疑者を逃がさないように監督することを誓約する書面)を添付することで,家庭環境が安定していること等を検察官にアピールできます。しかし,弁護士が選任されていない場合には,同居の家族がいることしか検察官に伝わらず,家族による協力の有無に関する資料が検察官の手元に届きません。この意味でも,早期に弁護士を選任することは,早期釈放の可能性を高める為に,極めて大事なことといえます。

検察官が被疑者を釈放することを決めた場合,通常は,検察庁で釈放されるのではなく,再度護送バスに乗って留置されていた警察署に戻った後,その警察署で釈放されることになります。護送バスは,その日,検察庁で取調べを受ける他の被疑者の取調べが終わるのを待って,各警察署を回りますので,早い段階で釈放されることが決まった場合であっても,実際に釈放されるのは夕方以降になることが多いです。

参照条文

刑事訴訟法

第60条1項

裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。

1号 被告人が定まった住居を有しないとき。

2号 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

3号 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

第204条1項

検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者(前条の規定により送致された被疑者を除く。)を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。但し、その時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。

 

4.裁判所による勾留決定

検察官が勾留請求をした場合,裁判所が,検察官の勾留請求を認めるかどうかを判断することになります。その際,被疑者は裁判所に連行され,裁判官からの勾留質問を受けることになります(刑事訴訟法61条)。東京都で逮捕された場合,裁判官との勾留質問は,検察官による取調べの翌日に行われることになりますが,東京都以外で逮捕された場合には,検察官による取調べと同じ日に勾留質問を行うことが多いようです。裁判官も,上述したとおり,

・定まった住居を有しているかどうか

・罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるか

・逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるか

という点から,被疑者を勾留すべきかどうかを判断します。

もっとも,被疑者が痴漢行為に及んだことを否認している点については,検察官程は重視しない傾向がみられるようです。したがって,検察官に勾留請求をされたからといって,早期釈放を諦める必要はありません。実際に,幣所の弁護士も,勾留請求がなされた事件で,数多く検察官の請求を却下する決定を得た実績があります。

参照条文

刑事訴訟法

第61条

被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。

 

5.勾留決定に対する不服申立手続等

裁判官が被疑者を勾留する決定をした場合,被疑者は10日間,警察署の留置場の中で身体を拘束されることになります(刑事訴訟法208条1項)。しかし,10日間の勾留が決まったからといって,10日よりも早く釈放される可能性がない訳ではありません。勾留の決定に対して不服を申し立てる準抗告という手続のほか,被害者との示談の成立等,勾留決定後に生じた新しい事実を理由に,勾留の取消を請求することも可能です(同法87条1項)。統計上,準抗告等が認められるケースは多くありませんが,幣所では準抗告等によって釈放されたケースも数多く取り扱っております。勾留決定がなされたからといって,10日間の身柄拘束を甘受するのではなく,まずはご相談いただければと思います。

参照条文

刑事訴訟法

第208条1項

前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

第429条1項

裁判官が左の裁判をした場合において、不服がある者は、簡易裁判所の裁判官がした裁判に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした裁判に対してはその裁判官所属の裁判所にその裁判の取消又は変更を請求することができる。

2号 勾留、保釈、押収又は押収物の還付に関する裁判

第87条

勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。

 

 

6.勾留延長

被疑者を勾留した場合,検察官は,10日以内に,被疑者に対する処分を決定するか,被疑者を釈放しなければなりません(刑事訴訟法208条1項)。しかし「やむを得ない事由」があると認められる場合には,勾留期間を最大10日間延長することができます(同条2項)。延長が認められた場合,勾留期間は最大で20日間となります。「やむを得ない事由」が認められるような例外的な場合しか,勾留の延長は認められない建前になっていますが,実務上は,勾留延長は簡単に認められてしまっています。痴漢事件においては,警察官や検察官が捜査しなければならない対象が限られており,10日間で終了するケースが多いようですが,勾留が延長されてしまうケースもあります。このような場合も,勾留延長決定に対して準抗告を申し立てることが可能です。

参照条文

刑事訴訟法

第208条2項

裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。

 

7.終局処分

検察官は,勾留満期日に被疑者に対する処分を決めます。検察官による処分は大きく分けて,不起訴処分,略式起訴,公判請求(正式起訴)の3種類です。いずれの処分にするのかについては,検察官に大きな裁量が認められています(刑事訴訟法248条)。

被疑者が痴漢の犯人であることを証明するための証拠が十分でない場合や,痴漢の犯人であることは明らかな場合でも,被疑者に前科前歴が認められず,被害者との示談が成立しているような場合には,不起訴処分となることが多いようです(事件事務規定75条1項2項)。

逆に,直接陰部に触れるような悪質な事案や,痴漢の前科が複数認められる場合には,正式起訴となることもあります。

略式起訴とは,正式起訴と不起訴処分の中間の処分であり,公判廷における裁判を行うことなく,被疑者に有罪を宣告し,罰金前科を付する手続になります。例外的に,処分日に罰金を支払わせるケースもありますが,通常の場合,釈放されてから数週間後に,罰金の納付に関する書面が郵送されることになります。略式起訴の場合,裁判を受ける権利を放棄した上で,自分が有罪であることを認める処分になりますので,通常の場合,罪を認めている場合にしか行われません(刑事訴訟法461条,461条の2)。

勾留満期日になっても,処分を決めることができない事情がある場合には,例外的に,処分保留のまま,被疑者を釈放することもあります。勾留満期日までには示談を成立させることができないものの,近日中に示談が成立する見込みがある場合には,示談交渉の進捗状況や示談成立見込日等を検察官に報告し,示談成立前の状況によって,被疑者を処分しないように働きかけることになるでしょう。

参照条文

刑事訴訟法

第248条

犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

第461条

簡易裁判所は、検察官の請求により、その管轄に属する事件について、公判前、略式命令で、百万円以下の罰金又は科料を科することができる。この場合には、刑の執行猶予をし、没収を科し、その他付随の処分をすることができる。

第461条の2 第1項

検察官は、略式命令の請求に際し、被疑者に対し、あらかじめ、略式手続を理解させるために必要な事項を説明し、通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げた上、略式手続によることについて異議がないかどうかを確めなければならない。

同第2項

被疑者は、略式手続によることについて異議がないときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。

 

事件事務規定

第75条1項

検察官は,事件を不起訴処分に付するときは,不起訴・中止裁定書により不起訴の裁定をする。検察官が少年事件を家庭裁判所に送致しない処分に付するときも,同様とする。

同条2項

不起訴裁定の主文は,次の各号に掲げる区分による。

1号 被疑者死亡

被疑者が死亡したとき。

5号 親告罪の告訴・告発・請求の欠如・無効・取消し

親告罪又は告発若しくは請求をまって論ずべき罪につき,告訴,告発若しくは請求がなかったとき,無効であったとき又は取り消されたとき。

16号 罪とならず

被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき,又は犯罪の成立を阻却する事由のあることが証拠上明確なとき。

17号 嫌疑なし

被疑事実につき,被疑者がその行為者でないことが明白なとき,又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白なとき。

18号 嫌疑不十分

被疑事実につき,犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分なとき。

20号 起訴猶予

被疑事実が明白な場合において,被疑者の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき。

0120-135-165

メール相談はこちら

初回相談無料。まずはご相談ください。